ポストガール1巻 増子二郎 電撃文庫

その昔、表紙の絵のポストカードが本屋さんで無料配布しており、「わ!かわいい!」と思いいただき、部屋に飾っていた作品なんですが…電撃文庫ということもあり(おいらは電撃文庫とはあまり相性が良くない様でなんかあまり手にとらない)なんか手に取っていなかったのですが、先日本屋さんで出ていた最新刊(4巻)の帯に「最終巻」と書かれていたのでちょっと手に取ってみました。
読んでみたらおもしろいんだこれが…今まで読まなかったのが悔しい…第一インスピレーションでさっさと手に取っていれば良かった。
まあ、そんな経緯があるポストガール…主人公シルキーは郵便配達をするロボットのような物。シルキーにはかりそめの感情を演じてみせる能力「自意識システム」が登載されていた。しかしその自意識システムに「心」というバグが発生してしまい機械なのに、人間のように苦しんだり、喜んだりするという短編集。
短編集というとなんだか関係のない話が入っているようだが、一応基本設定はあり、話的にもつながっている1話完結のお話が5話入っているというもの。
話は主人公シルキーの視点から書かれている。第一話ではちょっとしたバグだったのが話が進んでいくうちにいろんな人、いろんな機械と出会いそのバグが大きくなり、システムとバグがシルキーの中で闘っている描写がとても良かったです。
ロボットに人間の心が宿り…というありきたり、といってしまえばそれまでの話なんですが、おいらはとても良い話だと思いました。
一巻収録の中では第2話の「エピタフ」が一番好きな話でした。不幸になってほしくなかったから、「悲しみ」や「寂しさ」を感じることが出来ない様に作られたアディティの痛々しさがなんだかどうにも涙を誘います。一番百合度が高いから、というのもありますが(笑
ものすごいおすすめはできないのですが、読みやすいので表紙の絵が気になっているとか言う方は手に取ってみてください。
心がふっと温かくなる、そんな作品です。
一般おすすめ度:★★★☆☆
百合おすすめ度:★☆☆☆☆